CFA level 1に役に立つかもしれないノート。CFAプログラムの内容を開示する意図はありません。あくまで私、ぽいぽいが個人用としてまとめたものをシェアしているだけなので、これによって損害を被ったとしても一切の責任は負いませんので注意してください。
目次
証券化
securitization(証券化)=金融資産をその資産から生じるキャッシュフローによって裏付けられたパッケージを売却することで購入するプロセス
asset-backed secutiries(ABS, 資産担保証券)=資産の信用力やキャッシュフローを担保とする証券
証券化のメリット
証券化の当事者
issuer, SPE(special purpose entity)/SPV(special purpose vehicle) = 証券化のため特定の目的を持って設立する媒体。
ローンを購入し資産担保証券として投資家に売却する主体。SPE、SPVがこの役割を果たす。seller, servicer = オリジネーターとしてSPEに債権を売却する主体
originater(オリジネーター)=証券化商品の当初の債権者のことcustomer = ローン借入申込を行い資産(e.g. 車、住宅)を購入し契約に従い、元利を返済する主体
ABSの資産は原資産のリスクや特性のみに反映されるため、発行主体であるSPEの財政リスクは無関係。(Bankrupcy remote = 倒産隔離)そのため、ABSは一般的な債券より高い信用格付けを得ることがある。
証券化の構造
tranche(トランシェ)=証券化商品を資産のリスクや性質によって分類した一部分
クレジットトランシェ
credit tranching(クレジットトランシェ)=資産の異なるデフォルトリスクによって分類すること
senior tranche = 優先部分のトランシェ
subordinated tranche = 劣後部分のトランシェ
waterfall structure(ウォーターフォール構造)=事前に定めた優先順位に従って支払いを行うこと
全てのABSからのキャッシュフローが実現しないとき、トランチェによって優先された請求権を有する投資家が支払いを受けることができる。最も劣後のトランシェから損失を吸収する。
タイムトランシェ
time tranching(タイムトランシェ)=第1トランシェの元本返済が済んだ後に第2トランシェの元本返済が行う形で分類すること
creditとtimeの両方のトランシェが使われることが多い。
住宅ローン
Morgage-backed securities(MBS, 不動産担保証券)
=ABSの一種で住宅ローンの元本・利子の返済によって裏付けられた証券
Residential mortgage loan=裏付ける担保が住宅用不動産であるローン
借り手が債務不履行に陥ったとき、借り手は担保となる資産に法的請求権が発生する。
Loan-to-value ratio(LTV ratio、担保掛目)=担保不動産の価値に対する借り手に貸した金額の割合
LTVが低いときは債務不履行の際、貸し手の損失が少ないため貸し手にとってリスクが低い。一方、LTVが高い時は回収可能金額が少ないため、高リスクであると言える。
特徴
満期:典型的には15~30年。40~100年ということもある。
金利:
fixed-rate mortgage(固定金利型住宅ローン)=満期まで金利が固定されている住宅ローン
adjustable-rate mortgage / variable-rate mortgage(変動金利型住宅ローン)=金利が変動する住宅ローン
index-referenced mortgage(インデックス連動型住宅ローン)=1年米国債やLIBORなどの市場インデックスに連動して金利が変動する住宅ローン
convertible mortgage(転換型住宅ローン)=借り手に変動もしくは固定金利に変更できるオプションを付与する住宅ローン
元本:
fully amortizing loan=毎回の支払いに利息と元本の一部分が含まれ、最後の定期支払いに元本の返済が必要ないローン
partialy amortizing loan=毎回の支払いに利息と元本の一部分が含まれるが、満期にballoon paymentと呼ばれる残りの元本の返済が必要なローン
interest-only mortgage=ローン期間全体を通して元本の返済がないローン
繰上返済:
prepayment(繰上返済)=スケジュールされた元本返済を超える額の返済を行うこと、抵当資産の所有者がローン期間中に当該資産を売却したときの残りの元本の返済や借り手がローンを借り換えるときの元本の残額返済、利息軽減効果を狙った元本の早期返済がこれに該当。
prepayment penalty(繰上返済違約金)=繰上返済を行った時に課せられる違約金
ローンによって違約金が発生する。
償還請求:
foreclosure(差し押さえ)=借り手が債務を履行しなかったときに借り手が担保に対して法的に取り立てること
recourse loan=貸し手が担保不動産の売却額が未払元本額に達しない金額分に対しても法的請求権が発生するローン
nonrecourse loan=貸し手に担保不動産以外の借り手の資産に請求権がないローン
nonrecourseでは、担保不動産の価値が下落し未払元本の額より下回ったときに借り手が意図的に不動産を返却するstrategic default(戦略的デフォルト)の可能性がある。
RMBS
Residential mortgage-backed securities(RMBS)にはagencyとnonagencyに分類。
Agency RMBS = 発行主体が公的機関であるRMBS(e.g. Ginnie Mae, Freddie Mae)
Nonagency RMBS = 発行主体が私的な組織であるRMBS
Agency RMBS
pass-through securities(パススルー証券) = 複数のローンをプールすることでリスクを分散させ、それらから生じるキャッシュフローに持分に比例して直接請求権を持つ証券
securitized mortgage(抵当証券)=プールされた抵当権や債権
クーポンレート、満期は加重平均を用いて計算されたWeighted average coupon、Weighted average maturityを使用。
Nonagency RMBS
政府による保証がなく信用リスクが高いためCredit enhancement(信用補完)を使って信用力を底上げする。
外部信用補完
- Corporate guarantee by seller
- Letter of credit(信用状)
- Bond insurance(保険債券)
内部信用補完
- Reserve funds
- Overcollateralization
- Credit tranche
信用補完に関しては こちらも参照。
CMO
Collateraized mortgage obligation(CMO)=モーゲッジからのキャッシュフローをいくつかのクラスに分類して債券のセットとして販売される証券
投資家間で異なるリスク選好に応じて編成されたもの。リスクはCMOトランシェの間で再分配されるが、軽減はされない。
シークエンシャル構造
Sequential pay CMO=利息返済がすべてのトランシェにされるが、元本返済は優位のトランシェからなされる構造
Shortest trancheから元本返済されるため、各トランシェでextension riskとcontraction riskが混在している。
PAC構造
PAC structureは以下二つのトランシェから構成。
- Planned Amortization Class tranches(PAC トランシェ) = Initial PAC collarによって定められた範囲内のキャッシュフローが支払われるトランシェ、キャッシュフローと満期が予測しやすい
- Support tranches = 早期償還によってPACでスケジュールされた支払いより多くキャッシュフローが生じたときに支払いが発生するトランシェ
Initial PAC collar=PACの支払いスケジュールを保つためサポートトランシェがキャッシュフローを供給ないし吸収できる期限前返済率の上限または下限
broken PAC=initial PAC collarを超えた期限前償還率をもつPACトランシェ
PACトランシェと比べ、サポートトランシェはextension riskとcontraction riskの両方を負担する。
早期償還リスク
prepayment risk(早期償還リスク) = パススルー証券のリスクとして繰上返済違約金は発生しないことから発生するリスク
extension risk=繰上返済が予定より遅くなるリスク
contraction risk=繰上返済が予定より早くなるリスク
これらのリスクは利子率によって影響を受ける。利子率が上昇した時は繰上返済が少なくなるのでMBSの満期が長くなりextension riskが発生。逆の場合も同様。
Single monthly mortality rate(SMM) = 繰上返済がない時と比べ繰上返済が元本の未払いを減少させる割合
conditional prepayment rate(CPR)=WACを用いて期限前返済率を年率で表したもの、パススルー証券の価値測定の一般的な指標として使われる
PSA早期償還ベンチマーク
Public Securities Association(PSA) prepayment benchmark = 月単位の早期償還率を推測するためのモデル
徐々に月単位の早期償還率が増加するという仮定を置いている。
仮にモデルの速度より2倍の速さでCPRが上昇したら、200 PSAと表される。
CMBS
Commercial mortgage-backed securities(CMBS)=収益を生む商業用不動産(e.g. マンション、産業用倉庫、ショッピングセンター)を担保とした証券、nonrecourseとして分類(i.e. 返済が不足しても担保不動産のみに請求権が発生)
CMBSを評価するための2つの指標
- debt-to-service coverage ratio(DSCR, 債務返済カバレッジ比率)
= Net operating income÷debt service - loan-to-value ratio = ローン額÷担保不動産の公正価値
据置期間
call protection(据置期間)=債券の発行体が繰上償還できない期間
CMBSはprepayment protectionの代わりとしてcall protectionを使っている。
2種類のcall protection
- loan-level call protection
prepayment lockout, defeasance, prepayment penalty points, yield maintenance chargesを用いた方法 - CMBS-level call protection
シークエンシャルトランシェに分割して優位トランシェのリスクを軽減させる方法
その他のABS
Auto loans ABS
Amortizing loanに分類。 売却、下取り、盗難、レッカー、保険適用などによって早期償還が発生。credit enhancementが必要。Credit card ABS
lockout period=元本が返済されない期間のこと
lockout periodを除いた期間で元本が返済される。その間支払わなかった元本はより多くの売上債権を購入するのに使われる。
Early amortization provisionは信用補完に含まれる。
債務担保証券
Collateralized Debt Obligations(CDO、債務担保証券) = 社債やローンなどの資産を担保として発行される証券化商品
Synthetic CDO = credit default swapのポートフォリオが担保となるCDO
Arbitrage CDO = 担保と資金調達コストのスプレッドからリターンを得るCDO
CDPの典型的構造
CDOは以下のようなトランシェを持つ。
- Senior tranches(floating rate, 全体の7~8割)
- Mezzanine tranches(fixed rate)
- Equity tranches(Prepayment and credit protectionの役割)