ぽいぽいの「かきくけこ」

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債券 - 信用分析編

CFA level 1に役に立つかもしれないノート。CFAプログラムの内容を開示する意図はありません。あくまで私、ぽいぽいが個人用としてまとめたものをシェアしているだけなので、これによって損害を被ったとしても一切の責任は負いませんので注意してください。

目次

信用リスク

Credit risk(信用リスク) = 借り手が債務を履行できないときに発生する損失によるリスク
信用リスクは以下のように分解できる。
Expected loss(期待損失) = Default risk × Loss severity

Default risk(デフォルトリスク) = デフォルトの確率 Loss severity(損失深刻度) = 借り手が債務不履行に陥ったときに生じる損失額

Recovery rate(回収率) = 1 - loss severity in %

関連するリスク

  • Spread risk(スプレッドリスク) = スプレッドが開くことによるリスク
  • Credit migration risk / Downgrade risk = 発行体の信用低下に付随して債券の格付けも低下するリスク
  • Market liquidity risk(市場流動性リスク) = 債券を売却したときに市場価値より受取額が低下するリスク

弁済順位

同一の発行体でも弁済順位が異なる債券がある。

  • Senior > junior > subordinated
  • Secured > Unsecured

など順位が存在するものはその順位に従って債務不履行の際に精算される。
一方で、弁済順位は常に厳密ではなく、裁判所が異なる結果を言い渡すこともあれば、債権者同士の交渉で結果が異なることもある。
pari passu(パリパス条項) = すべての債務が同じ弁済順位であることを記した条項

信用格付け

S&P, FitchやMoody'sに代表される債券の格付け機関が行う。
2種類の格付け 1. Corporate family rating(CFR) = 発行体の信用格付け、senior(優位弁済)かつunsecured(無担保)の債務に適用 2. Corporate credit rating(CCR) = 特定の債券に対して適用、notch up(down)があり得る

信用格付けのリスク

  • 信用格付けの変動
  • 格付け機関のミス
  • 予測不可能な発行体特有のイベントの存在
  • 速報性の欠落(格付けの修正より価格の変化の方が早い)

4つのC

  1. Capacity = 債務履行能力
  2. Collateral = 保有資産の価値
  3. Covenants = 債務発行に関する規定
  4. Character = 経営のクリーンさ

Capacity

  1. ポーターの5F(ファイブフォース)モデル

    • 供給側の交渉力
    • 顧客の交渉力
    • 参入障壁
    • 産業内の競争度
    • 代替品の存在
  2. 企業内の分析

  3. 産業の分析

Collateral

  1. 減価償却費 - 減価償却費が資本的支出に比べ、高いと投資が不十分or資産の質が低い可能性
  2. 株価と簿価 - 株価の方が低いと資産の質が悪い可能性
  3. 無形資産 - 売却可能無形資産は担保となる可能性

Covenants

AffirmativeとNegativeの2種類が存在。詳しくはこちら

Character

経営戦略や経営能力、経営の実績を判断。会計政策から粉飾決済の可能性やその他法的な問題も分析。

信用分析のための財務諸表

カバレッジ比率とレバレッジ比率を用いる。EBITDA、EBIT、Cash flow from operations(CFO)、Free cash flow(FCF)を用いて計算される。

レバレッジ比率

レバレッジ比率が高いと信用リスクは高いと判断。以下がよく使われる指標。

  • Debt-to-capital
  • Debt-to-EBITDA
  • FFO-to-debt(比率が高いと信用リスクは低い)

カバレッジ比率

利払い債務に対する利益の大きさを示す比率。カバレッジ比率が高いと信用リスクは低いと判断。以下がよく使われる指標。

  • EBITDA-to-interest expense
  • EBIT-to-interest expense

イールドスプレッド

yield spread = credit spread + liquidity premium

イールドスプレッドの決定要因

  • 低い信用力→ボラティリティの上昇
  • 経済状況
  • 市場のパフォーマンス
  • クレジットサイクル
  • 過剰供給→債券の価格下落&スプレッドの上昇
  • Broker-dealerの資本→OTCトレードへのコミットメント→スプレッド低下

様々な債券の信用分析

ハイイールド債

High yield bond = 信用格付けがBaa3/BBB以下の債券
ハイイールド債の分析にはdefault riskよりもloss severityの方に関心が向く。Liquidity, financial projections, debt structure, corporate structure, covenantsが分析の対象。

Liquidity

流動性は以下の要素によってもたらされる。

  1. 貸借対照表上の現金
  2. 運転資本
  3. CFO
  4. 銀行の信用
  5. 株式発行
  6. 資産の売却

上にある方が信頼性が高い。

Corporate structure

発行が持株会社、子会社か調査。

Structural subordinationでは、親会社へのアップストリームより債務履行が優先されるため、持株会社の債務は子会社の債務より劣後にある

Debt structure

弁済順位ごとにloss severityを推定。

Top-heavy capital structure = 担保付債務が多い資本構成、デフォルト確率が高く無担保債務の回収率が低下

Financial projection

Stress scenarioを含めた将来キャッシュフローの予測を立てる。

Covenants

  • 株主への支払い制限
  • lien(物的担保)への制限
  • restricted subsidiaries = 子会社のキャッシュフローや資産を親会社の債務返済に割り当てることができる条項
  • Change of control put(COC条項?) = 発行者が買収され株主構成が大きく変わったときに債券保有者にプットオプションを付与する条項

ソブリン債

支払能力と支払意志を分析する必要あり。なぜなら債券保有者は履行を強制する手段が無いからである。
foreign currencyよりlocal currencyで通貨建てされた債券の方がデフォルトリスクが低い。

組織、経済、為替、対外関係、金融、財政などが考慮される。

地方債

Muni(地方債)は2種類に分類可能。

  1. General obligation bond = 自治体の信用によって裏付けられている債券
  2. Revenue bond = 特定のプロジェクトの収益によって裏付けられている債券

General obligation bond

税収、一人当たり所得、失業率、長期債務などを総合的に判断する。

Revenue bond

Debt service coverage = 収益/支払額
を用いて分析。